
市川猿之助さんの自殺未遂騒動はまだ謎の部分がようやく細かな取り調べが始まり詳しくわかってきたたようです。公演期間中のことでもあり各方面に大きな衝撃を与えました。
歌舞伎の世界ではファンも多く評価の高い市川猿之助さん。すでに復帰への強い待望論が出ています。今後果たして復帰できるのでしょうか、できるとすればそれはいつになるのでしょうか。
自殺未遂騒動の多大なる影響
自殺騒動が起きたのが5月18日。
2023年5月3日(水・祝)から~28日(日)まで明治座創業百五十周年記念『市川猿之助奮闘歌舞伎公演』の公演期間中の出来事でした。タイトルに本人名が入る大興行です。騒動発覚当日の18日夜公演は中止、それ以降は代役をたてて続行されていますが、松竹は払い戻しに即対応しています。

そしてもう一つが6月16日公開予定の「劇場版 緊急取調室 THE FINAL」です。重要な役でのゲスト出演。これから公開にかけてキャンペーンなどの予定ですが、どうなるのか現在配給元の東宝からのコメントは出されていません。ファンからは「公開やめないで」の声が届いています。
あわせて本作のスペシャルドラマも放映予定でしたが、これも未定です。公開日が迫り、映画の制作陣は、お蔵入りか公開延期か、あるいは撮り直しのギリギリの選択に直面しています。
猿之助さんの今後のスケジュールが、6月から8月まで3か月連続で歌舞伎座に出演、9月には京都・南座公演、来年2、3月には東京・新橋演舞場で大ヒットアニメの歌舞伎化・スーパー歌舞伎2「鬼滅の刃」とビッシリです。人気役者として大活躍の日々でした。関係者の動揺が伝わってくるようです。
6月の歌舞伎座舞台は代役の発表がありました。
市川猿之助さんの存在感
スケジュールからして人気役者であることはわかりますが、歌舞伎役者として、芸能人としての存在感も大きいものがありました。簡単にまとめます。
まずはプロフィール。
1975年11月26日市川段四郎の長男として生まれる。
80年7月歌舞伎座『義経千本桜』の安徳帝で初お目見得。
83年7月歌舞伎座『御目見得太功記』の禿(かむろ)たよりで二代目市川亀治郎を名のり初舞台。
98年7月歌舞伎座『義経千本桜』のお里で名題昇進。
2012年6・7月新橋演舞場『義経千本桜』川連法眼館の忠信実は源九郎狐、『ヤマトタケル』のヤマトタケルなどで四代目市川猿之助を襲名。
歌舞伎屋号の澤瀉屋を率い、伯父の猿翁丈から引き継いだスーパー歌舞伎をさらに発展させ、出演、演出、脚本全てをこなし、さらにはドラマやバラエティに出演するなど多彩な活躍が続いていました。
明星大学人文学部日本文化学科教授で演劇評論家の村上湛氏は以下のように述べられています。
一座を率いて中心となる大きな柱であった人。ものすごく新しいことをしているが、一方で古典歌舞伎の基本をとても厳しく守っている人でもあった。先人からの厳しい型を継承できることが大事だが、それがひと一倍できる人だった。
「ゴゴスマ」でのコメント
歌舞伎に関する著書の多いフリーライターの清水まり氏は、「歌舞伎俳優名鑑」の中で、以下のように明記されています。
作品の成り立ちや役の性根を的確にとらえた知性と細やかな情感が融合し、時に圧倒的な吸引力で客席を沸かせる。
その象徴が家の芸「猿翁十種」の『黒塚』だ。
伯父・市川猿翁のスーパー歌舞伎をさらに発展させたスーパー歌舞伎Ⅱ第2作『ワンピース』では、演者としてのみな
らず演出家、プロデューサーとしての手腕も幅広い層から高く評価された。
「歌舞伎俳優名鑑」より
演出家の三谷幸喜さんも「天才であることは間違いなし」と言われています。
舞台を観たファンの感想は・・。
GW最終日の5/7(日) 市川猿之助奮闘歌舞伎公演 夜の部を鑑賞して 卓越した芸とケレンを堪能しました。猿之助さんの舞踊、素晴らしかったです。 宙乗りも圧巻でした! 楽しい公演を拝見できて眼福でした。 ありがとうございました。Twitterななみ@nanami_moon
復帰への強い待望論
自殺未遂騒動の報道後、著名人やファンから復帰への強い要望やコメントが出てきています。
タレントの上沼恵美子(68)さん。
助かって良かったと私は思います。でも舞台復帰ね、ご両親亡くなってるでしょ? 難しいかと思うけど…。関係ないのに、偉そうなこと言ってすみません。
これは神さんに生かされたと思ってるんですよ。歌舞伎界のために引っ張って行かないかん。どんなことがあっても、踏ん張っていただかないと困ります! 皆さんも、そんな思いだと思います。
呼びかける形で「猿之助さん、あなたの代わりはいないわけですから、これはもう、責務だと思います。お願いします」と。
読売テレビ5月21日放送「上沼・高田のクギズケ!」より
演出家の三谷幸喜さん。これまで2回、歌舞伎の脚本・演出を手がけていて、いずれにも猿之助さんが出演されています。
通じるところはあって、ことあるごとにお話はさせていただいてましたね。
週刊誌も読んで、ニュースもいろいろ見て、聞いて、僕なりに思いもあるし腹の立つこともありますけど、何が1番腹
が立つかっていうと、僕はやっぱり猿之助さん自身に対してですよ。
これだけ才能があって、それが活かせるポジションにいて、どう考えても歌舞伎の“この先”を担っていく人の1人であ
るわけで。みんなもそう思ってたし、彼自身もわかっていたはず。~中略~
この陰惨な事件の唯一の救いがあるんだとするなら彼が生きてるってことだから、この先どうなろうとも彼は帰ってく
るべきだし、帰ってきてほしいし、僕らはそれをずっと待ってるだけのような気がします
TBSテレビ5月20日放送『情報7daysニュースキャスター』より
また梨園の後輩役者たちからすでに「復帰嘆願書」が出ているといいます。
ファンからも声があがっています。
復帰への道筋は?
まだ捜査段階なためどのように進んでいくのか不明な状況ですが、弁護士の見解によると罪に問われるいくつかのケースが考えられるようです。
自殺意思のある人を手伝ったりした場合は嘱託殺人罪または自殺ほう助罪で6か月以上7年以下の懲役です。→ビニールを被せたとの証言が出てきました。(5月24日)→自殺ほう助の疑いで逮捕する方針で捜査を進めているとの情報がでてきました。(5月29日)文春オンライン)
自殺意思のない人をそそのかすなどして誘導した場合は、自殺教唆罪で6か月以上7年以下の懲役または禁錮。
自分が一緒に死のうと思ったとしも、亡くなる意思のない人を故意に死亡させた場合は、最も重い殺人罪となり、死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役となります。
両親が自殺し、それをはかなんだ猿之助さんが後追い自殺を図ったということになれば、罪に問われない可能性はあります。そうなれば、当人の精神状態や体調、周辺の体制など様々な要素が絡まってからの判断が出るのでしょう。
また、一方ではきっかけと言われているセクハラやパワハラのスキャンダルの決着もあります。なかなか茨の道です。
まだ騒動の詳細が明らかになっていない今復帰の日程については待つしかありません。
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