
ジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川元社長による性加害問題をめぐり8月29日再発防止特別チームが記者会見で「マスメディアの沈黙」として、正面から報じなかったことへの責任が指摘されました。
この問題について発せられた著名なキャスターやフリーアナウンサーの方々のコメントをまとめました。
ジャニーズ事務所問題へのTBSキャスターのコメント
ジャニーズ事務所の性加害問題における再発防止特別チームが出した調査報告書の中で、マスメディアが正面から報じなかったためにジャニーズ事務所の隠蔽体質を強化し、結果として多くの被害者を生む原因になり、多くのマスメディア企業、とりわけテレビ局には「沈黙」しないで伝えるべきことを報道する責任があったという批判がありました。
テレビ各局で活躍されているキャスターやフリーアナウンサーの方々がそれぞれの立場でコメントを出されています。
TBSのキャスターはご自身が出演のニュース番組、報道ワイドショーでコメントを出されました。
「報道特集」キャスター・膳場貴子さん
9月2日「報道特集」で、ジャニーズ事務所前社長の故ジャニー喜多川氏による性加害問題についての調査報告書を取り上げ、次のようにコメントされています。

今回の調査報告では性加害に遭った人が少なくとも数百人に上ること。そして現社長であるジュリー氏は、20年以上前には性加害疑惑を認識していたと認められることが明らかになりました。
来週7日のジャニーズ事務所の会見には、藤島ジュリー社長本人が出席して実態を語る責任があると思います
そして今回の会見でもマスメディアの沈黙が改めて指摘されました。これは番組で取材をしてくる中で、私自身も何度も感じてきたことでありました。被害を拡大させる構造にメディアが加担してしまった分、今後これまで何が起きてきたのか取材して報じ続ける義務があると感じます
TBS「news23」キャスター・小川彩佳さん
5月11日放送の『news23』(TBS系)では、ジャニーズ事務所の元所属タレントらが、創設者で2019年に亡くなったジャニー喜多川氏からの性被害を訴えた問題について報道し、番組の中で被害を訴えるカウアンさんと橋田さんの言葉を受けて、小川アナは以下のようにコメントしています。

(未成年の性被害は)被害が表面化しにくいなかで、今回実名で顔を出して訴えて下さった方々がいらっしゃるわけです。
それはどれほど勇気のいることだったのか、その勇気を私たちも重く受け止める必要があると思います。また、取材に応じて下さったカウアンさんは、『ジャニー氏の疑惑について、当時からメディアが報じていたら、ジャニーズ事務所に行くことはなかった』とも話されていました。
果たして、報道機関がどれだけこうした被害を報道してきたのか、少なくとも私たちの番組では取材してこなかったという現状があります。そのなかで、このカウアンさんの発言は非常に重く、この言葉には向き合わなければならないと感じています。
今後番組では、こうした訴えをしっかりと受け止め、報道していきたいと考えています
「THE TIME,」キャスターの安住紳一郎さん
TBSの安住紳一郎アナウンサーは8月30日放送の情報番組「THE TIME,」でこの問題に言及しています。

世界でもこういう問題はあるんですけれども、メディアというのは報道機関とエンタメ部門を兼ねているということがありまして、自然に任せるとたしかにこういった問題を指摘できなくなる構造的な問題もあるかもしれません。
「サンデーモーニング」キャスター・関口宏さん
9月3日のTBS系「サンデーモーニング」では、長期間にわたってジャニー喜多川氏による性加害を認定し再発防止策として、藤島ジュリー景子社長の辞任などを提言したことを報じました。その中で進行役を務める関口宏さんは次のように述べられました。

どこへ落ち着くのかという方向性が非常に難しい問題だと思っています
こんな大きなこととは思ってなかった。つまり認識不足が僕の中にもあったんじゃないかな。これは反省をしております。
ジャニーズ事務所問題への有働由美子さんのコメント
8月29日、嵐の櫻井翔さんがキャスターも務める日本テレビ系「news zero」。NHK出身のフリーアナウンサーで同番組のメインキャスター有働由美子さんは、番組の中で以下のように話されています。

メディアに身を置くひとりの人間として、こうして指摘を受ける前に行動を起こさなかったことを恥ずかしいと思っています。海外の人権問題は徹底的に批判するのに、もっと近くにあった問題はちゃんと取材して知ろうとしませんでした」
続けて「今日、マスメディアの沈黙と指摘されましたが、私も含めたメディア一人ひとりに突きつけられている問題です。なぜ沈黙してしまったのか、重く問われているとともに、覚悟のもとに向き合っていきたいと思います
ジャニーズ事務所問題への古館伊知郎さんのコメント
今はフリーキャスターですが、かつて日本テレビに在籍し、その後フリーで歌番組やトーク番組の司会、「報道ステーション」キャスターを務められた大ベテランの古館伊知郎さん。8月30日放送のTBS系「ゴゴスマ~GOGO Smile~」で鎮痛な面持ちで語られました。

自分は80年代の半ばに『夜のヒットスタジオDELUXE』という歌番組の司会をしていてメリー(喜多川)さん、ジャニーさんとも接点があった。
今さら遅いかもしれないが(ジャニー氏の性加害については)噂では聞いていたが、そうなんだ、という感じでやり過ごしてきたという反省がある。
初老の男性が少年を…というのはイメージしづらいというのがあった
ジャニーズ事務所問題への宮根誠司さんのコメント
30日放送回の読売テレビ系「ミヤネ屋」では元ジャニーズJr.の橋田康氏が生出演し、現在の心境を明かしました。その中でMCの宮根誠司さんが出されたコメントです。

マスコミも含めて、我々も橋田さんとかに謝らなきゃいけない立場だと思うんですね。ジャニーズ事務所にいる優秀なタレントさん、アーティストさんがたくさんいて、テレビに出てもらいたい、なぜかというと視聴率もとれるから。疑惑があったり、暴露本が出たり、週刊文春が特集したりした時に、我々は積極的にというか、ほとんど取り上げませんでした。
我々は橋田さんはじめ被害にあった方にマスメディアとして謝らなきゃいけないんじゃないかな。僕も喋る資格があるのかな、と思っちゃったりもするんです。
ネット上では「宮根すごい」「よくここまで言った」と反響を呼んだ一方「うまいことにげてるやん」などの言葉もありました。
ジャニーズ事務所へのテレビ朝日の対応とコメント
テレビ朝日はこの問題にしばらく沈黙を貫いており、癒着が指摘されていました。再発防止特別チームが出した調査報告書が出たことで、報道系ワイドショーの「羽鳥慎一モーニングショー」や「大下容子ワイド!スクランブル」でようやく取り上げられました。(ビジネスジャーナル)
木下容子キャスターのコメント
8月30日の放送の「ワイドスクランブル」では、「マスメディアの沈黙」より「同族経営」にスポットあてたように感じる進行だったといいます。(同ジャーナル)
そこで出演のコメンテーターの萩谷弁護士がマスメディアの報道の役割を強調した鋭いコメントされた中で、木下容子キャスターが述べたことが次です。

メディアの沈黙ということで今回もイギリスのBBCが報道したことがきっかけで、国連の人権委員会も動くことになって…ということですので」とし「私たちも健全な緊張感をもっていい方向に向かうきっかけにしなければならないと思います」
羽鳥慎一さん休みで玉川徹さんがコメント
8月30日の「羽鳥慎一モーニングショー」で、夏休み中の羽鳥慎一さんに代わるような形で、レギュラーコメンテーターの玉川徹さんが、ジャニー氏の性加害について報道を控えていた可能性も指摘しつつ

「こういう部分、あったんだろうなって思います」
「僕も少なくとも、週刊文春の裁判の後は性加害が事実認定されていることは知っていたわけですよ。だけど、僕の仕事じゃないって思ってたところがあるんですよね。そういう形で間接的に逃げてた部分、あるのかなって思います」
ジュリー氏については、「ジャニーズ事務所は会見すると思いますけど、藤島社長は会見に出席された方がいいと思います。もしかすると、辞任するんじゃないかって報道ありますけど、やっぱり代表取締役社長としての最後の責任として、辞任されるとしても会見に出席された方がいい」
「会見で、我々に〝石〟を投げる資格があるのか?と思います。〝石〟を投げることができるのは、もしかしたら週刊文春だったりBBCだったり、フリーのジャーナリストとしてこの問題を追及しようとしてきた人だけかもしれない」
踏み込んだ発言となっています。
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