福岡市と佐賀市の境の三瀬峠を越えるとすぐに脊振山系の一部となる佐賀県最北部の三瀬村です。この三瀬村の山間に人気の珈琲豆専門店「珈道庵(こどうあん)三瀬山荘」があります。恵まれた自然の中で焙煎されるこだわりの珈琲を紹介します。
三瀬村の山間深く入ると
福岡市早良区と佐賀市三瀬村をつなぐ有料道路「三瀬トンネル」を過ぎ、そのまままっすぐ国道263号線を車で走ること15分くらい、途中三瀬郵便局を目印に左折し、小さな表示板を頼りに奥に進んでいきます。



はじめは普通の山道ですが、近くなっていくと不安になるくらい森深く入り込みます。「道間違ってるかも・・」と思うくらい離合が難しい細い一本道です。


行き着いた先には、マイナスイオンを胸いっぱい吸える緑の木々に囲まれた和モダンな建物が建っていました。



こだわりの石清水珈琲とは?
珈琲豆の販売をされているショップと喫茶室が向かい合わせに建っているのですが、現在喫茶室の営業はされていませんので、まっすぐ販売店のほうへ伺います。落ち着いた感じの女性スタッフの方が迎え入れてくださいます。

こちらの珈琲のこだわりは何ですか?



石清水珈琲と言っているんですが、背振山系の綺麗な地下水に近い伏流水(ふくりゅうすい)を汲み上げ、生豆を洗ってから焙煎します。そうすることで、クリアな感じになります。同じ酸味でもマイルドで雑味やエグみなどがなくなるのです。
まずお飲みになりませんか?
直前の下調べによると購入者へ珈琲サービスがあるとあったのですが、もちろん購入する気満々で伺ったものの、いきなりの嬉しいお言葉でした。
待つこと5分くらいでしょうか、珈琲と一口スイーツを乗せたお盆を手渡され、「”椿”をご用意しました。前の喫茶室でお楽しみください」と言われました。




お盆を手に真向かいの喫茶室へ向かいます。


趣きある喫茶スペース
以前は店舗営業されていた喫茶室。何とも風情のある店内にため息が漏れます。ショーケースには販売用に包装された珈琲豆が調度品のように置かれ、額装された書や湯呑茶碗が所々に飾られています。






木材そのものの味わいが残る大きいテーブルが2つ。外のテラスにもいくつか置かれ、気候の良い頃は外の空気を吸いながら楽しめるのでしょう。落ち着く空間です。






窓から見える緑は、まるで切り取った絵画のように美しく目に嬉しい眺めです。


目と耳で癒されながら味わう一杯の珈琲
店内には私一人だけ。繁る緑が目の前にできる席に座り、淹れていただいた珈琲を早速いただきました。


ボッテリとして手になじむ湯呑に入れられた珈琲とナッツ風味の焼き菓子をゆっくりと味わいました。耳に入ってくるのはサーサーという清流の音とサワサワと木々が揺れる音のみです。店内には既成音楽のBGMは流れていません。目の前にはまぶしいほどの木々の緑。
素敵な喫茶店は数多くありますが、自然を感じながらこんな贅沢な時間を過ごせる空間は他にはないのではないでしょうか。たまたま一人だったこともあり、ずっとここに居たいと思いました。
珈琲は、少しぬるめでご説明のとおりスッキリとしつつまろやかさもあり、酸味を際立たせていると言われたのですが、キツイ酸味はありませんでした。(個人の感想
)喫茶室を閉じた理由
現在は営業されていない喫茶室。



喫茶の営業を再開する予定はないのですか。



大勢のお客様にお越しいただき良かったのですが、あまりにも多くて前の一本道の渋滞がひどく店内の席数も多くないため、多い時は2時間待ちの時がありました。
せっかくご来店いただいたのにゆっくり寛いでいただけなかったりとご迷惑おかけし、癒されてほしいという本来の願いが保てなくなったので止む無く閉じることになったのです。



そういう理由なのですね、残念。
オーナーの手による書や陶器






喫茶室、販売ショップの店内に飾られている書や陶器が気になりお尋ねしてみました。



店内の素敵な書や陶器はどなたか有名な方によるものですか



全てオーナーが書いたり作ったりしたものなんですよ。陶器はこの裏に電気の窯がありそこで焼いています。
焙煎人として50年の歴史を刻まれている多才なオーナー。極めようとされるお姿が感じられる作品の数々。ご案内書きにも味があります。
多種多様な商品群
販売ショップには多くの珈琲豆がセンスよく並べられています。












大きくは、創作ギフト珈琲と家庭用珈琲に分けられており、パッケージとしては珈琲豆そのものが詰められたものとドリップバッグにして詰められたものがあります。
豆は、「茜(あかね)」「望(のぞみ)」などとネーミングされたブレンド珈琲9種とブラジルサントスやモカなどブランド別のものが9種があり、店舗には粉に挽いたものが置かれていましたが、言えば豆のままでも購入できます。プライスカードに簡単な風味の説明があり選ぶ時の目安になります。
ドリップバッグ珈琲は「香(かおり)マイルド」「香・ストロング」など4種用意されています。ドリップバッグどうなのかな?とも思ったのですが、こちらには1杯だてのパック詰めができる機械があり、鮮度を大事に包装されているということがリーフレットで細かく説明されていて納得できました。
商品パッケージがどれもお洒落なので家庭用のものもちょっとしたお土産には重宝するのではないでしょうか。
進物用のシリーズ
ギフト用のセットが多く用意されています。ブレンド珈琲とドリップバッグの様々な組み合わせのものが用意されていますので、価格帯とセット内容で選ぶといいかもしれません。






最高級のゲイシャ種
店内左奥の一角に、目を奪われる価格の珈琲豆がありました。


21,600円





この”げいしゃ”というのは日本の芸者さんと関係あるのでしょうか



これは、世界最高峰といわれるパナマのエスメラルダ農園で栽培されているゲイシャ種という豆のことを指しています。香りの宝石と言われていて、軽やかで華やかな風味が多くの人を魅了しているんですよ。



そうなんですね。勉強不足でした。
高地のエスメラルダ農園のゲイシャ種は、栽培が難しく生産量も少ないことから貴重な品種として価格も高くなるということです。さらになかなか手に入れるのが難しいゲイシャ種がここでは、他の豆とブレンドしドリップパックにされお手頃価格でも購入できます。
そのまま郵送できるパック



こちらは、「お便り珈琲」と言いまして、そのまま切手を貼ってポストに投函できる商品なんですよ。送料が抑えられるんです




これが手元に送られてきたら嬉しいですね。
甘味やお菓子も
珈琲に合う甘味や珈琲ようかんやナッツのお菓子などあり、女性には嬉しい商品ですね。






ソフトバンクは要注意
会計方法はカードも電子決済も多く用意されているのですが、やはり山奥、paypayで払おうとしたソフトバンク社のスマホは電波をキャッチすることができず、止む無くカード支払いの運びとなりました。
最後に
新緑の季節に訪問した「珈道庵 三瀬本店」はオーナーの趣向が感じられる素敵なところでした。
冬の寒い頃には雪に覆われることもよくある三瀬村ですが、そんな時は三瀬トンネルは通行止めになり、もちろん本店へ行く道も閉ざされるようです。Instagramで確認してくださいと言われました。
オープンして16年。福岡市にもう1店舗営業されています。購入だけならこちらでもいいですが、自然あふれる三瀬山荘に出かける価値は確かにあります。一度訪れることを強くおススメします。
コメント